初日の出暴走や成人式に現れる過激なカスタムカー。実は、あのカスタム手法には「街道レーサー」という正式名称があります。この街道レーサーはもとをただすとレーシングマシンに起源をもち、今日のカスタム手法にも影響を与えた、日本の自動車文化を代表するものの一つです。
当記事では、そんな街道レーサーの概要・カスタムメニュー・ベース車をご紹介します。
「街道レーサー」とは?
「街道レーサー」は1970〜80年代に流行した、日本の暴走族文化を象徴する車のカスタム手法。「ハイソカー」と呼ばれた当時の国産セダン&クーペをベースに、巨大なチンスポイラー・リアウィング・竹槍マフラー…etc.を装着させた超過激なスタイルになります。

この街道レーサーのルーツは、往年のレース・富士グランチャンピオン(1971〜89年)の前座にあたる「シルエットフォーミュラ」です。シルエットフォーミュラでは市販車の外装に巨大なスポイラー類とレースエンジンを組み合わせたマシンが活躍していて、そのスタイルが街道レーサーの源流となっています。
(→街道レーサー=公道でも乗れるレーシングカー)
今でこそ「初日の出暴走」や「成人式」などでしか見かけることがなくなってしまった街道レーサーですが、VIPカーやスタンス等今日のカスタムに多大な影響を与えています。
街道レーサーのカスタムメニュー
街道レーサーに施されるカスタムメニューとしては、以下が代表的。多くのメニューでボディ形状を大胆に変更するため、しばしば「違法改造」の扱いを受ける街道レーサーですが、なかにはフル公認取得で堂々と公道を走れるものも存在します。
- ローダウン(シャコタン):車体が地面に擦れるレベルで車高を下げる
- オーバーフェンダー:フェンダー(ホイール周りボディ)をワイドにする
- ペイント:ボディを純正にないビビッドなカラーでペイントする
- 深リムホイール:奥行きのあるホイールをオーバーフェンダーに合わせる
- 引っ張りタイヤ:ホイールよりも細いタイヤを横に引き伸ばして履かせる
- チンスポイラー(デッパ):バンパー下端を前方に大きく延長する
- ロングノーズ化:ボンネットをグリルより前に延長する
- オイルクーラー:オイルクーラーをバンパーに外付けする(ダミーのものが主流)
- ルーフの切断・除去:4ドアクーペの屋根を切断してオープンカーにする
- 竹槍マフラー:マフラーを上方に延長する(サイド出しやボンネット出しも人気)
街道レーサーで人気のベース車
70〜80年代に流行した街道レーサーでは、ベース車に同時期の「ハイソカー」が用いられます。このハイソカーの大まかな特徴としては、以下のとおりです。
- 国産でトヨタ / 日産製のものが主流
- オーナードリブン向けの高級車
- ボディタイプは2ドアクーペ / 4ドアハードトップ / 4ドアセダン
- 基本はFR(後輪駆動)車で、ドリフト走行に最適
ここからは、そんな街道レーサーのベース車(ハイソカー)について、特に人気が高いものを計10モデルご紹介します。
トヨタ・ソアラ
「ソアラ」はトヨタがかつて製造・販売していた高級2ドアクーペ。専用のグリフォンエンブレムを掲げ、直6などの高出力エンジンと当時の先端技術が盛り込まれた、トヨタのイメージリーダーです。
そんなソアラのうち、初代・Z10型(1981〜86年)とそのデザインを引き継いだ2代目・Z20型(1986〜91年)はデートカーとして一世を風靡しました。これらは中古車の流通量が多く、街道レーサーのベースとしても大人気です。
トヨタ・セリカ
「セリカ」もトヨタが送る2ドアクーペです。こちらはソアラより一回り小さいボディに直4エンジンを搭載した手頃なモデルで、国産デートカーの先駆け的存在として知られています。

このセリカのなかでも、初代・A20/30型(1970〜77年)は丸みを帯びたボディから「ダルマセリカ」の愛称をもち、今なお根強い人気を誇る名車。街道レーサーのベースにも、しばしば採用されています。
そのほか、2代目・A40/50型(1977〜81年)と3代目・A60型(1981〜85年)も街道レーサーのベースとなることがあります。
トヨタ・セリカXX
トヨタ「セリカXX」は、セリカの上級モデルにあたる3ドアのファストバッククーペ。直6エンジンを搭載していて、のちの「スープラ」へと系譜が続く本格派のスポーツカーです。こちらは初代・A40/50型(1978〜81年)と2代目・A60型(1981〜86年)があるのですが、どちらも街道レーサーのベースとして一定の人気があります。
トヨタ・マークⅡ / チェイサー / クレスタ
トヨタ「マークⅡ」とその姉妹車「チェイサー / クレスタ」は、「マークII3兄弟」として一世を風靡したハイソカーの代表格。4ドアセダンや4ドアハードトップ(サッシュレスドア)、5ドアワゴン等の様々なボディタイプが選べて、パワートレインの選択肢も豊富でした。
そんなマークII3兄弟のうち、街道レーサーのベースとして人気なのは、X50/60型(1980〜84年)とX70型(1984〜97年)です。それぞれ直6エンジン&MT仕様のグレードが存在していて、もともとのFRレイアウトとあわせてドリフト走行に最適でした。
日産・セドリック / グロリア
日産「セドリック」とその姉妹車「グロリア」は、合わせて「セドグロ」と呼ばれる、トヨタ・クラウンのライバルにあたる高級車。4ドアセダンや4ドアハードトップ、ワゴン等のボディタイプが展開されていました。そんな歴代セドリック / グロリアのうち、国産車で初めてターボを採用した430型(1979〜83年)と後続のY30型(1983〜99年)は、街道レーサーの定番ベース車となっています。
日産・ローレル
「ローレル」は日産が製造・販売していたマークII3兄弟と同車格のハイソカーです。こちらは独特のリアデザインから「ブタケツ」の愛称をもつC130型(1972〜77年)の4ドアセダン / 2ドアクーペが、街道レーサーのベースとして人気でした。
日産・スカイライン
日産を代表する名車「スカイライン」は、街道レーサーの王道ベース車でもあります。

なかでも、ケンメリの4ドア版「ヨンメリ」ことC110型(1972〜77年)のセダンや、独特のグリルレスフェイスで「鉄仮面」の異名を冠するR30型(1981〜90年)のRSグレードは定番です。
日産・レパード
「レパード」はスカイライン&ローレルに続く日産の高級モデルで、V6ターボ仕様車や2ドアクーペが展開されていました。うち、初代・F30型(1980年 – 1986年)とドラマの劇中車として有名な2代目・F31型(1986年 – 1992年)は、しばしば街道レーサーのベースに採用されます。
日産・フェアレディZ
半世紀以上、日産の顔として愛されてきたクーペ「フェアレディZ」も街道レーサーのベースに用いられます。こちらは富士グランチャンピオンで活躍していた初代のS30型 (1969〜78年)と、その後継で2代目のS130型系 (1978〜83年)が大人気です。
日産・シルビア / ガゼール
日産「シルビア」とその姉妹車「ガゼール」は直4搭載の2ドア / 3ドアクーペになります。こちらはS110型(1979〜83年)とS12型(1983〜88年)が街道レーサーのベースとして人気です。
今日の自動車カスタムの礎「街道レーサー」
今回は初日の出暴走でお馴染みの過激カスタム「街道レーサー」について、そのカスタム内容やベース車をご紹介しました。絶滅危惧種となってしまった街道レーサーですが、そのスタイルはVIPカーやスタンス等、今日のカスタムに引き継がれています。日本の自動車文化を語る上で外せない存在ですね。